コンドロイチンとは

そもそもコンドロイチンとは - 全身に存在

コンドロイチンは、ギリシャ語で「軟骨」を意味する「コンドロス」をその語源とすることからも分かる通り関節軟骨に多く含まれています。このことから、コンドロイチンは関節軟骨にだけ含まれていると誤解している人も多いのですが、実はムコ多糖 専門用語アイコン の中でもコンドロイチンは生体内分布が広く、関節軟骨や骨などの硬組織の他にも、脳神経組織などほとんど全ての臓器や組織に含まれ、重要な機能を担っています。

また、コンドロイチンは構造的には1種類ではなく、結合している硫酸基の位置と数などから、現在までのところ5種類(A、B、C、D、E)存在することが分かっています。主なコンドロイチンの生体内分布は表2の通りです。関節軟骨に多く含まれているコンドロイチンはAとCで、硫酸基の結合している位置からそれぞれ、コンドロイチン4硫酸、コンドロイチン6硫酸と呼ばれることもあります。

表2〈 主なコンドロイチンの生体分布〉

名 称 所 在 性 質
コンドロイチン硫酸

コンドロイチン硫酸A

コンドロイチン硫酸C

コンドロイチン硫酸B
(デルマタン硫酸)

コンドロイチン硫酸D
ほとんどすべての組織に含まれている。

いずれも軟骨、角膜、大動脈、心弁、髄核に多く存在する。微量はヒトの血清や脳にも含まれる。

皮膚に特に多く含まれ、心弁や肺にも多いが、骨や軟骨にはみられない。

サメ軟骨に多い。
炭素原子の基本骨格は両者とも全く同一で、硫酸基の位置のみが異なる。

コンドロイチン硫酸Aによく似た構造だが、グルクロン酸がイズロン酸に変っている。細胞同士の接着を妨げる作用がある。

コンドロイチン硫酸Cによく似ているが、それより硫酸含量の多いもの。
ヒアルロン酸 (ヒアルロナン) 目の硝子体
ニワトリのトサカ
関節液
硫酸基のないムコ多糖で、構造もムコ多糖ではもっとも簡単だが、その分子の長さは驚異的で赤血球径の1/2(約0.004mm)に達するものも存在する。
ヘパラン硫酸 (ヘパリチン硫酸) 血管内膜および中膜
細胞表面
細胞基底膜
ヘパリンに似た構造だが、抗凝血活性はない。これは硫酸含量が低いことによる。
細胞と細胞の接着を促進。
ケラト硫酸 角膜
椎間円板の髄核
軟骨
ほとんどの場合、コンドロイチン硫酸とともにタンパク質に結合して作用する。
ヘパリン 肺組織
肥胖細胞
きわめて高度の抗凝血作用があり、手術時や透析療法に欠かせない。
    構造はムコたと多糖だが、所在も作用も特異的である。

*「ムコ多糖の構造と機能」(南江堂)をもとに長谷川榮一先生が作成