コンドロイチン硫酸(以下コンドロイチンと表記します)は、タンパク質、核酸(DNA)につづく第三の生命鎖としてライフサイエンス(生命科学)の分野で近年注目されている糖鎖化合物に属し、ムコ多糖 を代表する物質です。
糖と聞くと、私たちはすぐに「砂糖」を思い浮かべますが、砂糖はブドウ糖と果糖がつながっただけの単純な構造の物質です。
これに対して糖鎖は、文字通り糖がまるで鎖のようにたくさんつながった構造で、タンパク質や脂質と結合して細胞の成長や老化、免疫機能、がん、ウィルス感染など、私たちの生命活動の根幹に深く関与していると考えられていて、将来的には創薬、臨床への応用も期待されています(表1)。
こう聞くと、まだまだ遠い存在のように思える糖鎖ですが、私たちに馴染みの深いABO式血液型は、実は糖鎖によって決定されているもので、意外に身近なところにも糖鎖は存在しているのです。
表1〈 創薬臨床への応用で期待されること 〉
糖鎖の機能 | 期待されること |
---|---|
細胞の識別 | がん治療薬や移植医療への応用 |
品質管理 | 効き目が長い薬品開発 |
細胞の保護 | 臓器を傷つけない保存液の開発 |
適切な輸送 | 脳梗塞、心筋梗塞の治療薬の開発 |
病原微生物に対する感染予防 | インフルエンザ、SARS その他ウイルス病の治療薬の開発 |
ムコ多糖とは、アミノ糖(糖分子の水酸基がアミノ基に置き換わったもの)を分子内に含む多糖のことで、ほとんどがタンパク質に結合した状態で存在していることから、タンパク質を持つ(プロテオ)、多糖(グリカン)ということで、最近はプロテオグリカンとも呼ばれています(図1)。
コンドロイチン以外の身近なムコ多糖としては、化粧品などの保湿成分として馴染みの深いヒアルロン酸 があります。
図1〈 ムコ多糖類の分類 〉
図2〈 コンドロイチン硫酸の構造 〉
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